一人で酒を呑んでるときに聞こえてきた話。
聞くつもりも無かったけれど耳に入ってきてしまった。
どこかの役所の駐車場があるらしい。
複数あるうち、一つは入出場ゲートがあり、もう一つは監視員がいるだけらしい。
入出場ゲートがある方は時間精算で駐車料金を払うのだが、監視員のいる方は自己申告で入場時間を伝えるらしい。
当然、監視員が不在のタイミングもあるらしく、運が良ければただで駐車できるらしい。
そのちょろまかすテクニックについて得々と一人が語り、同席しているもう一人が聞いていた。
見も知らない人に正義感を振りかざして説教をするほど優しい人間ではない。
ふーんと思って聞いていたが、そういうずるを他人に話すのは、どういう心境なんだろうと思った。
人目につかないところでするずる、例えば、深夜の誰もいない交差点での信号無視とかだとして、それを話すことに何か意味があるかというと、あまり無いような気がする。
役所の駐車場という公共の場所で、監視員という人の目があるシチュエーションで、駐車料金という小銭をちょろまかすというずるは、どうなのかというと、まぁ、お里が知れるというか、器の小さいやつというか、大人として恥ずかしい行為だと思うのだけれど、そうは思っていないから得々と話していたのだろうか。
公共のサービスを出し抜いたつもりなのか、監視員を出し抜いたつもりなのか、駐車料金で一大財産を築いたつもりなのか、或いはそんなことを想像できない聞いていた私の想像力を出し抜いたつもりなのか。
楽しそうに酒を呑んで饒舌になっていたのか、他の話は耳に入ってこなかった。
未だにどこかの役所の駐車場代がちょろまかされているのだろうか。