やあ、こんにちわ
久しぶりだね
こうして手紙を書いたことがあったかな
いまさら君に何かを伝えようと思ったのは、他でもない、今年に入って高橋幸宏氏、坂本龍一氏の訃報が届いたからだ
あの頃僕らが夢中になってたミュージシャンが2人も旅立ってしまった
YMOのあの曲が、ライブではあのアレンジが、シンセは何で、ラジオでこう言ってた、TVに出るよ、毎日がそんな他愛のない話で溢れていたっけ
「あの頃は毎日が夢のようで」って、ユキヒロのFlashback(もともと教授の中華三昧のCM曲をユキヒロにあげたんだっけ)の歌詞のように思えるんだ
そんなセンチメンタリズムが溢れてしまって、この前、あの頃僕らが毎日歩いた街を独りで歩いてみた
学校の裏、工場の裏門、団地の間の道
何もかもが変わってしまい、当時を忍ばせるものなど何も無かった
時は流れ、人はまた去る、思い出だけを残して
これは、君の知らない江戸アケミ氏の言葉だよ
当時の店は閉まって、商店街は寂れて、知らない人たちの家が並んでいた
もしかすると、まだ残っているのかもしれないけれど、それを丁寧に掘り起こすつもりはない自分がいた
僕らはよく似ているようで全く違うし、同じ道をたどるつもりがあったのかどうかさえ、今となっては良く分からない
何者にでもなれるつもりはしていたけど、何者になろうとしているのかさえよく分からず、ただ他愛のない話で時間を浪費してた
もちろんそういう時だったし、それが悪いことでもないし、そのお陰でこうして美しい思い出ができたんじゃないか、と思っている
君のことを思い出すのも、たぶん少なくなるかもな
人は思い出だけで生きてはいけないからね
でも相変わらずYMOは聴いているよ
あの頃わくわくした気持ちは忘れられないんだ
また気が向いたらなにか伝えようと思う
元気でね