日々のぼんやり

何か書いてみる。書いてから考える。

なぜ酒を呑むのか

酒を呑まない知人がいる。

深くは聞かないけれど、やめたと言うのだから、思うところがあるのだろう。

自分は酒を呑みたい方の人である。

だが、なぜ呑みたいのかを考えだすと、良く分からなくなってくる。

例えば、定期検診や人間ドックの前には呑まないでいることもできるし、例えば毎日のお茶の代わりのように吞んでいられるかというとそういうことではない。

吞まなきゃやってられない、という決まり文句があるけれど、そういうカスのような状況で飲む酒が美味い訳はない。

日々の腹の立つこと、不条理なこと、プレッシャー、混迷など、ただ過ごしていくだけで溜まっていくストレスの捌け口として酒を呑んでいるのかというと、それは違うような気がする。

酒を呑むときに美味しいなぁと思っているが、本当に美味しい酒はそれなりの値段を払わないと味わえないし、本当に美味しい酒をいつでも呑みたいということでもない。

ただ、酒が呑みたいな、と思う時がある。

何かの代替ということではなく、ただ単に吞みたいのだと思う。

前は誰かと呑みに行くということが好きなのだと思っていたけれど、独りで呑みに行くようになって、ただ単に呑みたいと思っている自分に気がついた。

グルメ気取りで美味しいものを求めているということは無いが、それなりに気に入った料理がある店は何度も行ってしまう。

何度も行ってしまうけれど、そこを自分の場所としたいわけではない。

誰かを非難しているわけではないけれど、常連の顔をして座っているのは趣味ではない。

何となくふらっと行って、空いてる席に座って(もしくは隙間に立って)、周りの声に聞くとは無しに聞きながら、TVがあればTVを眺めたり、窓があれば窓の外を眺めたりそんなことがしたいのだと思う。

それで思い出したが、呑み屋で外を歩いている人を眺めていたら、釣られて入ってきたっぽい人がいた。

独りでぼんやりしている酔っぱらいのおっさんに釣られて呑みに行こうと思う人なんているのだろうか。

そんなことを考えた久しぶりの二日酔いの日である。